裸食桐花宴

私は「手」でいろいろなことをするのが好きだ。ちょっと前には、台湾の数ヶ所で実地調査して、無花果を植えようと心を動かされた。温室内のエデンの園のような香りに憧れ、十二月の寒空の下、新鮮な成熟した無花果が採れると夢中になった。
手で種を採り、枝を切り、実を収穫できる。残念ながら手間がかかりすぎるため、あきらめた。
今回の「桐花祭」は、また手を動かす場所ができたと心動かされた。
そう、「稲鴨庄」に行って自然農耕法で有機米を栽培するのだ。
誤解しないでほしい。私のようなお嬢様が心を入れ替えて、都会生活の習慣を洗い流し、田んぼに入って稲を植えるなんて。いやいや、まさか。私は「無米楽」という映画を見たことがあり、ひざまずいて田んぼの草むしりをしたり、腰を曲げて苗を植えるのが難しいことは知っている。「稲鴨庄」に行く目的は、その米ではなく、鴨だ。
「合鴨」農法は台湾の田舎ではよく見られる農耕法で、小さい鴨を田んぼの中で飼うのだ。雑草や害虫を食べてくれるし、合鴨の糞は天然の有機肥料となり、稲作の燐、カリウム、微量元素を補充してくれる。合鴨が水の中で泳ぎまわれば、泥が混ざって酸素含有量が増えるため、「合鴨米」は日本で最近最も盛んな有機稲米栽培法である。
私はその「お世話係」になりたいと思ったのだ。
この「お世話係」は合鴨を飼う手伝いができるだけでなく、殺した後の毛抜きや内臓を取り除く仕事なども手伝える。現在、もちろん「機器」方式で毛抜きができるが、こんな自然環境で自然に育った鳥なのだから、生命の最後の過程も、しっかりと手で一本一本毛を抜く。だから「食いしん坊」の私は、「合鴨米」の他にも、この鴨の美味も試したい。喜びいさんで一匹買って帰って見ると、全身ほとんど油身がついてなくて、肉自体もあまりついていない。全身が健康極まりなく、脂肪も余分な肉も全くなく、色も美しいワインレッドだ。
田んぼのあちこちに存在する「スクミリンゴガイ」を食べて育ったからだ。
合鴨の最もおいしい食べ方はもちろん水煮で、肉が甘く皮がこりこりして紙応えがあり、普通のふにゃふにゃの養殖肉とはまったく違う。
私が手に入れた合鴨は四斤半の重さで、大きいが、鴨肉特有の臭みがなく、味は淡白だ。もっと別の食べ方を試してみたくなった。
友達が天母付近の路地裏で「裸食堂」という鉄板焼屋を開いている。有機食材を鉄板でさっと調理すれば、健康でおいしくしかもお手ごろ価格だ。
私はこの「有機鴨」の胸肉を削いで、「裸食堂」にもって行き、面白いものが見れないかと期待した。
もちろん、ついでに合鴨米も一袋持って行った。米を炊いた後、鉄板でチャーハンができる。
今回の「桐花祭」で「明園」という有機野菜園も訪れ、有機カボチャ、トマト、レタスも買って帰って来たので、これも手早く調理する鉄板グルメにしよう。私はこのグルメ料理を「裸食」と名づけることにした。
そう、裸食。
農薬、化学肥料、成長ホルモンなしで培われた食材を、シンプルな調理法で調理する。過度に揚げたり、蒸したり、煮たりという面倒な手続きを経ずに、多くの有益要素を残せるだけでなく、食材本来の美味を味わえる。
これこそ裸食、最も基本なものを食べることではないのか?もちろん、笑わないでほしい。美しい桐花を観賞する「桐花祭」に、私の目の中にはおいしい食べ物のことしか眼中にないなんて。いや、そんなことはないのだ。花祭であちこち桐花を見てまわり、美しい花を十分見てから、北部客家地区で心を込めて育てられた有機食材を買い、それを利用して、「裸食堂」で最適な手早い調理法である鉄板焼で、自分と友達にグルメの宴を用意したのだ。
ただ嘘をつくのはやはりもうしわけない。そうでなければ、このグルメメニューは「裸食桐花宴」という名前に決めたいところだが。というのは、同行した友が、地面に落ちてきた桐の花を拾って持って帰えればお皿に飾れるといったのがきっかけだったのだ。
食べられない油桐の、その白い花は美しく、損なわれることなく落ちてくる。加えて桐の花の大きい緑の葉は、食卓に飾れば最高の飾りになる。
誰が花を食べることだけが「花宴」と言うだろうか。もし「桐の花の宴」というのを作るとしたら、私はきっとこのような「裸食桐花宴」を作るだろう。
客家特産の有機食材を利用して、面倒な調理を必要とせず、できるだけ食材本来の美味を活かし、シンプルで自然に、それこそ真の「白花勝雪」の桐の花の精神だろう。
有機食材は過去には自然界の産物であったが、今に至っては手間をかけてこそ「創造」できるもので、これには人手もかかる。客家は働き者で知られているが、この有機作物を発展させたのにも、十足な説得力がある。
それに、「稲鴨庄」のような自然農耕は、美しい景観を創っており、実に印象深いものであった。稲田が排出した水は、農薬に汚染されていないので、エビや魚がうれしそうに泳ぎまわっていた。田のあぜの草、木を眺め、緑の水田を縁取り、和やかで美しい農村の景色は、その他の観光地に決して劣らない。白い羽毛の合鴨は言うまでもない。
客家の有機グルメ、裸食桐花宴は、実に味わい深い。ぜひ「裸食」から純粋の自然を味見してみてほしい。